プロップファームの審査や運用で最も重要と言えるのが「日次ドローダウン」と「最大ドローダウン」というリスク制限ルールです。これらのルールは、1日または総残高に対する損失の許容範囲を明確化し、基準を超えると失格という厳しいチェックポイント。2025年現在、日本語対応主要4社(ThinkCapital/Blueberry Funded/Fintokei/Super Funded)ではそれぞれ5%・10%もしくは4%・8%が一般的なライン(標準的な2段階プランの場合)となっており、計算方式や判定基準も要確認です。本記事では基礎の違い、失格パターン例、DD回避策と共に、最新の規制比較・守るべき戦略まで詳しく解説。「損失管理力=合格率アップ」に直結するので、挑戦前に必ずルールを把握し、自分の資金設計・トレード計画に落とし込むことが成功への近道です。
1. 「日次ドローダウン」「最大ドローダウン」とは?
プロップファームの審査やライブ口座運用において、もっとも警戒すべきリスク制限ルールが「日次ドローダウン」と「最大ドローダウン」です。どちらも許容ラインを超えると即失格となる厳しい基準で、合否や出金までの継続率に直結します。
- 日次ドローダウン:1日の損失の限界。例:5%なら、その日の損失が当日開始時点での口座残高(もしくは有効証拠金)の5%を超えた瞬間に失格。
- 最大ドローダウン:全期間を通じた最大損失のリミット。例:10%なら、スタート時資金や一定の基準額から10%を超える損失で失格。
両者は似ていますが、計算対象が「1日」か「全期間」かで性質が異なります。合格率を上げるためには、それぞれ独立した管理対策が必要です。
2. 日次と最大ドローダウンの計算方法と違い
日次ドローダウン(損失制限)のタイプ
- 計算基準が当日開始時の「残高」ベース:含み益は影響せず、確定損だけがカウント
例:当日開始時の残高が200万円・日次ドローダウン5%の場合
→日次損失限度額は190万円 (200×0.95)
- 計算基準が当日開始時の「エクイティ(有効証拠金)」ベース:含み損益も即時反映されるため厳しい
例:当日開始時の残高は210万円だが、エクイティ(有効証拠金)が220万円・日次ドローダウン5%の場合
→日次損失限度額は209万円 (220×0.95)
最大ドローダウン(損失制限)のタイプ
- 初期口座残高ベース:実現利益を出して残高が増えても影響せず、常に固定
例:初期資金(チャレンジ開始時の口座残高)が200万円・最大ドローダウン10%の場合
→最大損失限度額は常に180万円 (200×0.9)
- トレーリング(相対)ドローダウン:実現または未実現利益により口座残高または有効証拠金が増加する毎に失格ラインも同様に増加する(上限は元の口座残高、1度到達するとそこで固定される=それ以降は実現及び未実現利益が発生しても増加しない)
例:初期資金(チャレンジ開始時の口座残高)が200万円・最大ドローダウン6%の場合
ケース1:口座残高が104万円に達すると、最大損失限度額は98万円に設定される
ケース2:口座残高が106万円に達すると、最大損失限度額は100万円に設定され、それ以降は実現及び未実現利益が発生しても増加しない
※残高が110万円に増加しても、最大損失限度額は100万円のままで固定
※いずれのケースも、実現または未実現損失により口座残高または有効証拠金が最大損失限度額を下回ると失格
違いの要点
- 日次DD:短期的な損失管理。取引日の行動制限が強くなる。
- 最大DD:長期的な損失管理。期間全体でのリスク許容度の上限。
※特に日次ドローダウンの計算式の基準は、ファームやプランによって、異なるルールが設定されている場合が多く、公式サイトのFAQなどで
細部までルールの確認をしてから、チャレンジに臨むようにしましょう。
3. 最新ドローダウン制限比較表【2025年主要4社】
項目 | ThinkCapital | Blueberry Funded | Fintokei | Super Funded |
---|---|---|---|---|
日次ドローダウン | 3~4% | 2~5% | 3~5% | 3~5% |
最大ドローダウン | 6~8% | 4~10% | 6~10% | 5~10% |
計算方式 (日次) | 当日開始時(冬時間:日本時間翌日午前7時 / 夏時間:日本時間翌日午前6時)の有効証拠金額ベース |
前日の有効証拠金と当日開始時(午前7時)の口座残高のうち高い方がベース | 前日の有効証拠金と当日開始時(午前9時)の口座残高のうち高い方がベース | 前日終了時の口座残高ベース |
計算方式 (最大) |
チャレンジ開始時の初期口座残高ベース | チャレンジ開始時の初期口座残高ベース | チャレンジ開始時の初期口座残高ベース | チャレンジ開始時の初期資金ベース |
公式サイト | Think Capital |
Blueberry Funded |
Fintokei |
Super Funded |
クーポンコード | WELCOME20JP - 初回限定20%オフ VTJ - 10%オフ |
PRIME20:20%オフ (プライムプラン) BERRY15:15%オフ (全プラン適用可能) |
(入門プラン「ビギナー」) |
VTJ - 20%オフ |
※計算方式は、各ファームの最も標準的/人気なプランである2ステップチャレンジ(ThinkCapital: デュアルステップ、Fintokei: チャレンジ)プラン適用のルールを記載(プランによって計算方式/基準が異なる場合があります)
※併せて、最新のルールや計算方式は必ず各公式サイトのFAQ等でご確認ください。
4. よくある失格パターン
- 損失を取り戻すため高ロットエントリー後に逆行 → 1日で5%超え(例:残高100万円→94万円に)
- 含み益から含み損転落 → エクイティ基準5%超え
- 連敗+ナンピンで累計10%超え → 最大DD到達
- 経済指標時の逆張りで即座に5%損失
5. 日次&最大ドローダウンを守る戦術
裁量トレード向け
- 1日の損失許容を日次DDの40%以下(理想は20%以下)に設定
例:日次DD 5% → 1% (最大でも2%)で損切り&その日はトレード終了) - 自分のトレード手法の勝率と連続で負けトレードとなる最大回数・それぞれの回数の確率を把握
- 上記最大連続損失を許容できるよう、トレード毎のリスク(ポジションサイズ)を初期口座残高の(例)0.5%に固定
- 過剰エントリーやリベンジトレードの防止ルールを明文化(紙に大きく書き、デスクやスクリーン上など常に見えるところに設置、等)
- 経済指標30分前後はNOトレードで急変動回避
EA・自動売買向け
- 日次・最大DD条件をパラメータで設定してロジック内に組み込み
- 稼働時間の制限 → 相場急変帯はエントリーしないよう設定
- 全てのトレードにストップロス注文をセットしておき、最大リスクを管理
- ポジション分散で一撃DD到達リスクを低減
共通ポイント
- 「危険水準の半分以下」で運用をストップする習慣
- バックテスト最大DD値×1.5をバッファ(安全域)と仮定して資金設計
- バックテスト勝率から最大連続損失確率を把握、それを織り込みトレード毎のリスクを管理
6. まとめと活用のすすめ
日次・最大ドローダウンは、合格率と継続運用率を大きく左右する「見えない壁」です。
特に5(4)%・10(8)%ラインが業界の標準であり、これはチャレンジ合格後のファンディング段階でも
継続適用のため、この枠内に余裕を持って収められる運用・リスク管理が不可欠です。
挑戦前に必ず各社の最新ルールを確認し、自分のトレード計画に落とし込んでリスクを可視化しましょう。